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2023年01月23日

街の活気に触れよう!全国お祭り特集(2023年|新春版)

“大勢の人々が集い、にぎわい、街が活気にあふれる”。私たちにとって「お祭り」は、日常生活を彩るために欠かせないイベントです。四季折々、津々浦々、日本の都市のあちこちで開かれていたお祭りですが、この3年のうちに「密を避けるため」として、その開催を中止・縮小するケースが相次ぎました。収束への道はまだ不透明なものの、今年は十分な感染対策を行いながら復活へ向けた動きが各地で広がりつつあります。聞けば地元の方々の意気込みは熱く、お祭りに伴う地域の文化や伝統を何とか後世に引き継ぎたいという気概を感じられます。

全国の都市部に営業所をもつ当社としても街の魅力や営みを後押しするため、新年の開幕にふさわしく、今回は北海道、愛知、長崎の3箇所から人気のお祭りをご紹介します。各所のお祭りの取り組みを参考にしつつ、現地へ出かけるもよし、読者ご自身がお住まいの地域のお祭りに参加されるもよし。ぜひ、積極的に足を運んで、その街ならではの魅力を再発見してみましょう。

長崎県長崎市|異国情緒あふれる「ランタン」の彩りに包まれて

「長崎ランタンフェスティバル」は、長崎の冬を彩る風物詩として知られるイベントです。開催期間中は観光名所の長崎新地中華街をはじめ、市内各所に極彩色のランタン(中国提灯)が飾られ、エキゾチックで幻想的な風景が広がります。

国際貿易港として知られる長崎には、古くから世界各国の人々が訪れ、生活し、独特の文化が築かれてきました。とりわけ中国との関わりは深く、市内に形成された中華街は横浜、神戸とともに「日本三大中華街」と呼ばれ、多くの観光客を集めています。この街で毎年「春節(旧正月)」を祝い開催されていた行事「春節祭」を原型に、中国の「元宵節」のランタンを飾る風習を合わせ、1994年(平成6)より「長崎ランタンフェスティバル」として年々その規模を拡大しています。現在では長崎市全体で盛り上げる一大イベントに成長しました。

地元の市民、企業、学生、ボランティアなど多くの人々の協力を得て開催されるお祭りは、今年で28回目を数えます。湊公園に設置される今年のメインオブジェは「牛郎織女(ぎゅうろうしょくじょ)」。

七夕伝説をモチーフにした高さ10メートルの巨大オブジェで、本来は2021年開催のために制作していたそうですが、同年は全面中止で公開が叶いませんでした。イベント・オブジェ・出店を控えてランタン装飾・オンラインPRのみとなった2022年を乗り越え、ようやく今年のお披露目となります。

“浜んまち商店街”の名で市民から親しまれる浜町・観光通りアーケードでは、天井いっぱいにランタンを飾った極彩色の空間で来る人を迎え入れるそう。

会場各所に配置された大小さまざまなオブジェを見つけながら、街を歩いて空気感に浸ったり、写真を撮ったり、願いごとをしてみたり……この場所を訪れる人それぞれの楽しみ方で、多彩な長崎の街と触れ合ってみましょう。合計約15,000個も飾り付けされるというランタンの灯りは、開催を心待ちにしていた市民の思いを反映しているのかもしれません。

今年の期間中は中止になっていたイベントが多数復活します。「皇帝パレード」は清朝時代の新年祝賀の様子をイメージしたもので、総勢約150名の豪華な衣装を身にまとった一行が市内を練り歩きます。また、長崎に入港した唐船の乗組員が行っていた行列を再現した「媽祖行列(まそぎょうれつ)」、五穀豊穣を祈り巨大な龍を操る「龍踊り(じゃおどり)」など、さまざまな催しがお祭りを盛り上げます。

 新幹線開業で新たな一歩を踏み出した長崎の街を彩る「光の饗宴」。密を避けるため、例年のようなステージ演出の代わりにサプライズで実施されるストリートイベントを予定しているとのこと。Instagram投稿でプレゼントがもらえるキャンペーンも実施するので、民謡「長崎ぶらぶら節」よろしく散策しながら思い思いに楽しんでみてはいかがでしょうか。

※「長崎ランタンフェスティバル」掲載写真の著作権は「長崎県観光連盟」様に帰属します。

 

 

【お祭りDATA:長崎ランタンフェスティバル(長崎県長崎市)】

 

 開催日程:2023年1月22日(日)~2月5日(日)

 開催会場:長崎新地中華街、中央公園 ほか

 見どころ:市内各所に飾られる極彩色のランタンやオブジェと華やかなパレードは、インスタ映えも狙えそう。

 

 お祭り公式サイト:https://www.at-nagasaki.jp/lantern-festival

 

愛知県稲沢市|有志の努力で、豪快な「もみ合い」が復活

寒風のなか、下帯姿の男性たちが激しくもみ合う「天下の奇祭」として有名な「国府宮はだか祭」は、愛知県稲沢市にある尾張大國霊神社(国府宮)で行われる「儺追(なおい)神事」の通称です。ここ数年のコロナ禍でタブー視されてきた感のある「密」が最大の見どころとなっているお祭りも、3年ぶりに“もみ合い”が復活します。

尾張大國霊神社は崇神天皇の代に創建され、奈良時代には尾張国総社と定められて以降「国府宮」と親しまれている神社です。尾張地方の総鎮守神、農商業守護神、厄除神として、長年にわたり地域の人々の信仰を集めてきました。「儺追神事」は、時の天皇の勅令により全国で行われた悪霊退散の祈祷が原点と伝えられる神事で、毎年旧正月に挙行されています。

お祭りの主役といえる「儺負人(なおいにん)」は志願者から祈祷、おみくじで選ばれ、「神男(しんおとこ)」と呼ばれます。旧暦正月13日の午後、災厄と穢れを一身に負う神男に触れて厄落としを叶えようと、厄年を迎えた人を中心にした大勢の「裸男」たちが集まり、壮絶な押し合い・もみ合いが繰り広げられ、境内の熱気は最高潮に達します。この模様はテレビなどでも中継されることから、映像で目にした読者もいらっしゃるのではないでしょうか。

「国府宮はだか祭」では、約1ヶ月にわたって神事が行われるのも特徴です。今年の始まりは1月23日の儺追神事標柱建式。その後、神男選定式、大鏡餅餅搗(おおかがみもちもちつき)および奉納、神男参籠(神男が三日三夜お籠(こもり)する儀式)、そしてメイン行事「はだか祭」が実施され、その後も夜儺追神事、的射神事と続き、2月12日のなおい茶会で閉幕となります。

地元はもちろん、全国各地から多くの観客を集める「国府宮はだか祭」ですが、コロナ禍の影響を受けて2021年、2022年の「もみ合い」は中止となり、大鏡餅奉納などの神事のみが開催されました。神社では「このまま中止が続くと、はだか祭の伝統文化継承が難しくなってしまう」との危機感をもち、市や警察などを交えた話し合いを継続。

そして今年は十分な感染対策を行ったうえで復活させる方針を固めました。具体的な対策として、全参拝者にマスク着用、手指消毒を呼びかけるほか、裸男にはさらにワクチン接種、事前検温、禁酒などを求めるガイドラインを作成し、周知徹底を図っています。

自由奔放で豪快な「はだか祭」は、氏子や町内会など地元衆が運営の中心を担って生活の一部として根付き、尾張地方に春を呼ぶお祭りです。神事に参加する人だけでなく観客の支えが一体となって開催されます。伝統を守る裸男たちの意気込みを、肌で感じてみませんか。

※「国府宮はだか祭」掲載写真の著作権は「尾張大國霊神社 国府宮」様に帰属します。

 

 

【お祭りDATA:国府宮はだか祭(愛知県稲沢市)】

 

 開催日程:2023年2月3日(金)※神事は1月23日(月)から

 開催会場:尾張大國霊神社(国府宮)

 見どころ:厄年の人を中心にした大勢の「裸男」たちが繰り広げる押し合い、もみ合いに注目。

 

 お祭り公式サイト:https://www.konomiya.or.jp/hadakamatsuri

 

北海道札幌市|雪と氷の祭典復活に燃える「熱い想い」

北国の冬を代表するイベントとして、国内のみならず、世界からも観光客を集める「さっぽろ雪まつり」。第73回を数え、札幌市制100周年記念となる今年の雪まつりは、実に3年ぶりの開催です。札幌市中央区の大通公園、すすきの両会場で、大小合わせて計160基の雪像・氷像展示が予定され、地元の人たちが待ち望んでいた「雪と氷の祭典」がようやく復活します。

スケールの大きさが特徴的な本イベントの始まりは1950年、地元の中・高生が大通公園に設置した6基の雪像から。今年は陸上自衛隊や民間制作隊が手がける大雪像のほか、市民グループ、ボランティアが制作した中小雪像、氷像が並び、8日間の会期中、昼夜を問わず多くの人でにぎわうことが期待されています。

まだ一度も「さっぽろ雪まつり」を訪れたことがない読者は、雪像と聞いて、子どもの頃に作った「雪だるま」を想像する人もいるかもしれません。しかし、本イベントの雪像制作は桁違いの熱意と工程を要します。特に大雪像は、近郊の山からトラックで雪を運び出し、足場を組んで積み上げていく工程が「ビル建設」に例えられるほどで、完成までには1ヶ月前後かかるとのこと。

その雪も、安全性を確保するため混じり気が少ないきれいな雪を採雪する必要があるといいます。そこまで人手を掛けても、会期終了翌日には直ちに取り壊されてしまうため「もったいない」感はありますが、制作にたずさわる人たちは会場を訪れたお客様に感動を与えるため、日々の仕事の合間を縫って参加しています。そうと知って見上げる大雪像は、きっと格別ではないでしょうか。

今回はウィズコロナ対策として、会場内の通路を広くして「密」を避ける工夫を施したほか、飲食ブースを設置せず観客の滞留を防ぐなど、感染拡大防止のさまざまな取り組みを行って観覧客を迎え入れるそう。実行委員会によると、3年間のブランクで経験が途絶えてしまった部分があることや、直前の中止を懸念するスポンサーへの対策で苦労したと語ります。

たくさんの人の協力を必要とする冬の一大イベントですから、裏の苦労は計り知れません。そんな厳しい状況のなかでも、「雪まつりは札幌の誇り。団結感を高める“心の拠りどころ”」と信じて準備を進めて今回の開催にこぎつけることができました。訪問を計画中の方には、冷たい雪像、氷像に秘められた市民の「熱い想い」を感じてほしいとのこと。

観覧の注意点としては、道路が雪で滑りやすくなるため転倒には十分気をつけて。あと、防寒対策も忘れずに。

※「さっぽろ雪まつり」の写真は、すべて「ようこそさっぽろ観光写真ライブラリー(https://www.sapporo.travel/sightseeing.photolibrary/)」からの引用

 

 

【お祭りDATA:さっぽろ雪まつり(北海道札幌市)】

 

 開催日程:2023年2月4日(土)~2月11日(土)

 開催会場:大通公園、すすきの ほか

 見どころ:市内各所に飾られる極彩色のランタンやオブジェと華やかなパレードは、インスタ映えも狙えそう。

 

 お祭り公式サイト:https://www.snowfes.com/

 

いかがでしたでしょうか。今回ご紹介したお祭りは、いずれも冬の風物詩として長年愛され、地域の結束を高めてきたものばかり。各所の取材を通じて、改めてお祭りは地域の文化継承・コミュニティ醸成に欠かせないものだと再認識することができました。にぎわう街にはお祭りあり、その一端でも、この記事でお届けできていれば幸いです。

お祭りそのものはもちろんのこと、お祭りを機会に街や地域の人たちとの交流も楽しんでみてください。読者ご自身の地域でも再開されるお祭りがあるかもしれません。地域のつなぎ手として積極的に参加して、日本のお祭りを盛り上げていきましょう!きっと新たな出会いや発見がありますよ!


*免責事項:掲載内容は2023年1月16日時点の情報です。
感染症の拡大状況によっては開催規模が縮小、もしくは中止される可能性もありますので、最新情報は各公式サイトや旅行サイトで事前確認をお願いします。