お役立ちコラム

プロパティマネジメント

企業のレジリエンスを強化するオススメ防災対策

2022年8月30日

来年の令和5年(2023)には関東大震災後100年という節目を迎えるとあって、企業の防災・減災への関心は例年以上に 高まっているようです。ウィズコロナの時代に見えてきた新しい課題や、地域社会から求められる企業の役割とは。防災の日・防災週間を機会に、自社の防災レジリエンスを強化してみませんか。

コロナ禍で顕在化した企業の防災・減災対策の課題とは

 10月22日・23日、国内でも大規模な防災イベント「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)2022(※1)」が神戸市中央区のHAT神戸エリアで開催されます。この大会は2016年から年に1度行われていて、関西圏での開催は今回が初めてとなります。HAT神戸エリアは阪神・淡路大震災後に復興住宅が建てられ、神戸市復興計画のシンボルプロジェクトのひとつとして整備されましたが、この震災でレガシーとなったのはハード面だけではありません。震災の復興過程で「自助・共助・公助」からなる「減災」という考え方も教訓として生まれました。この教訓は関西圏にとどまらず、東日本大震災や度重なる激甚災害を経て、全国各地へと波及していきました。1995年1月に発生した阪神・淡路大震災から27年が経過した現在、自助・共助の観点から企業が防災・減災対策を進めることは、もはや当たり前になったといえるでしょう。

 しかし、2022年夏、新型コロナウイルス感染症の拡がりは第7波を数え、今後も予断を許さない状況が続いています。働き方改革を進めている企業ほど、1つの場所に人を集めて行う訓練が難しく、法定訓練以外の自主的な防災訓練を中断する事業所もあれば、人数や回数を制限して実施しているという事業所もあるといいます。警戒される南海トラフ巨大地震等の災害に備え、分散して働く従業員の生命とそれに伴う経営資産をいかに守るか、従業員のリスク意識をどのように高めていけるのか。こうしたことが企業を悩ませる新しい課題として顕在化しているようです。

※1:ぼうさいこくたい2022(第7回 防災推進国民大会)
https://bosai-kokutai.net/

防災・減災対策は事業継続マネジメントの視点で見直そう

 ウィズコロナ時代の企業防災は、事業の生産性・継続性と対で語らなければなりません。企業活動が滞ることは、その地域の雇用・経済に直接的な打撃を与え、ひいては広域のサプライチェーンに負のインパクトを与える可能性があるからです。感染症に限らず不測の事態が起こったとしても、事業をストップさせない、たとえストップしたとしても早期に復旧できるよう、国は企業に対してBCPの策定やBCM(事業継続マネジメント)による持続的な事業運営を推奨(※2)しています。

※2:内閣府「防災情報のページ」>「事業継続」
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/index.html

 今年3月に内閣府防災担当が公表した資料「令和3年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」(※3)によると、BCPは大企業の7割強が策定済み、中堅企業では4割強が策定済みと、年々着実に増えている傾向がうかがえます。大企業・中堅企業とバリューチェーンを形成する中小企業ならおよそ同じ傾向にあるとみてよいでしょう。事業リスクに敏感な企業にどんなリスクを具体的に想定して経営を行っているかを聞いた結果(複数回答)を見ると、1位(93.5%)が「地震」、2位(81.2%)が「感染症(新型インフルエンザ、新型コロナ等)」、3位(54.9%)が「火災・爆発」で、4位(44.7%)が「洪水(津波以外)」、5位(44.4%)に「通信(インターネット・電話)の途絶」と続きます。

【事業経営上、重視しているリスク】
※複数回答n=1,673社、回答対象:リスクを想定した経営を行っている、または現在検討中の企業

 想定される社内外のリスクを踏まえたBCP/BCMは、危機的状況からの早期復旧を可能とし、社会的・経済的・環境的な損失を最小化します。つまり、企業防災に取り組むことは、サスティナブル経営/ESG経営の1つの柱になるといってよいかもしれません。企業防災は、市場での信頼性や企業価値の向上につながる取り組みなのです。こうした時勢に率先して自ら取り組むべく、街づくりを事業の核とする私たちNTTアーバンソリューションズグループや、電気通信事業やデータ事業を核とするNTTグループは、“つなぐ”事業全体を通じて持続的な地域社会の活動を支えていることを自覚し、リモートワークを更に進めていくとともに、レジリエンスの強化に向け組織分散トライアルを開始する予定です(※4)。

※3:企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査
https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/index.html

※4:NTTニュースリリース「地域への組織分散トライアルの開始について」
https://group.ntt/jp/newsrelease/2022/08/08/220808b.htm

ウィズコロナ時代にオススメしたい防災・減災対策3選

 働く人が増えるほど、働く場所が多様化していくほど、総務や人事の管理部署が従業員一人ひとりの所在や状況をリアルタイムで把握することは困難になります。いざという時に防災責任者が現場に不在ということもあり得る話です。平時から従業員一人ひとりが主体的に動ける仕組みをつくること、有事が発生した際に迅速な初動が打てること、それらが、BCP/BCMに取り組む企業の防災には必要不可欠です。ウィズコロナ時代だからこそ、そうした働き手の意識づくり、職場の環境づくりに取り組んでみましょう。

  1. 普段から使える安否確認ツールを採用しよう

 メールやアプリ、チャットツールが使えない、電話が通じない、といった事象は大規模災害時でなくとも発生します。例えば緊急時に、従業員が通信の不安定な場所にいたり、ネットワークやシステムに障害が発生したり、という状況は十分に想像できるのではないでしょうか。各々が従事する業務や拠点等と紐づけて、事業の早期回復のために必要な人材をどのように配置するか……といった戦略的な対応を管理部署が実行するには、可能な限り従業員と複数の連絡手段を確保しておくことが防災の基本となります。
 そこで、より確実かつ迅速に従業員一人ひとりの被災状況を把握して遅滞なく初動を進めるため、従業員との連絡手段をあらかじめ複数登録しておける安否確認ツールをオススメします。導入を検討する際は、すぐに一斉通報ができる自動通報機能や、連絡未達の場合の自動再通知機能、安否回答の自動集計機能など、必要十分な機能がありつつ管理が簡単なツールを選びましょう。また、機能面・使いやすさはもちろん、大量のトラヒックが集中してもダウンしない安定性を備えた基盤で運用されているかも、ツール選びの際の大きなポイントです。ツール導入後は、普段から社内アンケートなどに利用する機会を設けるなどして、通信環境に不具合はないか、使い方に戸惑う従業員がいないかを常にチェックしましょう。有事での利用精度を上げるためにも、平時に使い込んでおくことが大切なのです。

  1. 防災テックで危機管理対応力を高めよう

 “防災テック”という言葉が近年話題になっていますが、防災対策はICTとともに進化していて、サービス提供各社も事業者のニーズに沿ったサービス開発・提供に取り組んでいます。安否確認ツールの導入で従業員が安定した通信環境で仕事ができることを確認できたら、次に信頼性の高いビジネスチャットや防災eラーニングの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
 過去の広域災害でNTTグループが経験した課題の1つは、被災現場などの現況確認やさまざまなオペレーション情報などを関係者間で早期に共有することでした。有事においては現況を正確に認識した上で、作業のプライオリティ付けによる早期復旧をしなければなりません。前述した、事業リスクに敏感な企業が重視しているリスクの5位に「通信(インターネット・電話)の途絶」が挙げられているように、早期復旧はNTTグループにとって優先課題の1つなのです。そこでNTTグループでは、より信頼性の高いビジネスチャットを開発し、各社の通常業務で活用しながら日々改善を重ねています。
 もう1つ、防災eラーニングとは、多様化した労働環境下で大規模災害が発生したケースを疑似体験することで、災害を「自分ごと」としてとらえ、危機感の醸成と基礎的な災害対応を学ぶことができるオンラインプログラムです。スポーツ・勉強・ビジネス、いずれの場合も準備を怠っていては、いきなり本番で100%のパフォーマンスを発揮するということはありません。非常時に従業員一人ひとりが適切な行動をするためには、定期的なイメージトレーニングが不可欠なのです。オンラインの防災訓練を初めて導入するなら、基本的な地震災害の対応や防災知識を会得できるものを選んでください。一人で受講するものやグループワークで受講するもの、通勤時や仕事の合間といったスキマ時間に個人のペースで学習を進められるもの、職務に特化したもの、さまざまなプログラムがあります。従業員の成長に合わせて必要なものを組み合わせ、会社全体の危機管理対応力を高めていきましょう。

  1. 非常時の防災拠点としてオフィスを強化しよう

 オフィスビルの特性上、自然災害で被害を最小限に留める躯体構造・ビル仕様、停電・火災発生時の対策、共用部の感染症対策などは講じていますが、専有部の防災・減災対策はテナントごとの考え方に委ねられているのが実情です。非常時における一時避難の場所として、また、被災時の災害対策室として活用できるよう、いま一度、オフィス内の対策状況をチェックしてみましょう。まず、ウィズコロナ時代にあって、従業員が安心して働くための感染症対策は欠かせません。オフィス内でのフィジカルディスタンスを確保するために、座席や動線のレイアウトを工夫しましょう。加えて、抗菌・抗ウイルスを目的とした空間コーティングなども検討してみてはいかがでしょうか。特に、手指が触れやすい器具、不特定多数が出入りする場所、クリーンスタッフが定期的に入れない場所などが重点的な施工対象として考えられます。このほか、事業の継続もしくは早期復旧にも重要となる蓄電池等による非常用電源の確保や、一人3日分が推奨(東京都の場合)されている防災備蓄品の整理や手配なども見直すポイントです。前述の事業継続マネジメントの視点から、防災拠点としてのオフィスを強化していきましょう。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

防災は企業にとって、事業継続マネジメントの一環であり、従業員一人ひとりの主体性や危機管理対応力を育成する機会となるため、常にリスクの特定、情報収集、社内への迅速な情報共有、対応策の継続的な改善などが欠かせません。もしも、何かサポートが必要なことがありましたら、いつでも私たちにご相談ください。

今後も、このコラムではみなさまのビジネスや事業継続に役立つ情報をお届けいたします。