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テレワークの普及で問われる「オフィスで働くことのメリット」

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、テレワークを本格的に導入したという企業は多いでしょう。一方で、オフィスの「集まって仕事をすることから生まれる、さまざまな価値」が改めて注目されています。ここでは、感染対策と生産性向上を両立できるオフィスの姿について考察します。

テレワークが進む一方で、オフィスは現状のままで良いのか

新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、テレワークを本格的に導入した企業は多いでしょう。制度や環境面の充実に加え、オンライン会議やチャットなどのデジタルツールも普及し、コロナ以前とは働き方自体にも大きな変化が生じています。テレワークには、感染対策という側面のほか、「通勤が不要になる」「ワークインライフの実現」「集中できる環境を整えやすい」というメリットがありますが、テレワークが一般的な状態が長期化するにつれ、その課題も明らかになってきました。

厚生労働省によると、2020年12月の緊急事態宣言下でテレワークを行った企業に、生産性についてアンケートをした結果、生産性が「低下した」「とても低下した」と感じているという回答が25.2%を占めるという結果となりました。「上昇した」「とても上昇した」と回答した割合は約9%でした。テレワーク導入によって、企業が「生産性の低下」という課題を抱えていることがわかったのです。

テレワークの生産性を低下させる主な原因としては、「設備や通信などの環境が悪い」「自宅ではできない仕事がある」「対面でのすばやい情報交換ができない」といった意見がありました。また、他の調査ではテレワークの課題について「社内コミュニケーションがうまくとれない」点や「長時間労働になりやすい」といったことも指摘されています。

その一方で、今後もテレワークを継続的に実施する企業の割合は高いと見込まれています。国土交通省が行った調査によると、テレワークの実施について「現状よりも拡大」「現在と同程度を維持」という回答が71%を占めました。これらの結果だけ見れば「課題はあるものの、テレワークが拡大してオフィスで仕事をしなくなる」とも考えられますが、注意しなければならないのは、同調査では今後のオフィススペースについて91.7%が「現状のまま」と回答している点です。多くの企業が「テレワークを推進しつつ、オフィスの利用方法について模索している」という現状がうかがえます。

感染対策と生産性向上を両立するには「コンセプトづくり」から

新型コロナウイルス感染症の猛威は2022年現在も続いており、全国の新規陽性者数は71,423人(2022年2月21日時点)と、非常に高い数値を記録しています。企業が働く場所として従業員にオフィスを提供する限り、感染対策は決して無視することのできない重要な項目となりました。発熱している従業員がオフィスで勤務したり、狭い会議室で多くの従業員が密になってミーティングしたりといったことは、感染リスクが高まってしまうため防がなければいけません。

感染抑止策の一つでもあるオンライン会議でのビデオ通話には、対面でのコミュニケーションと比較して相手の表情や目線がわかりづらいという側面があります。オフィスで顔と顔を合わせて話せば、相手の反応を見ながら会話できるため、より実りのあるコミュニケーションが期待できます。細かいニュアンスも伝わりやすくなるので、コミュニケーションミスも起こりにくくなるでしょう。

さらにオフィスでは、従業員同士が偶然顔を合わせる機会も生まれます。ちょっとした相談や雑談もしやすくなり、それが思わぬアイデアや、クリエイティブな発想を生むこともあります。そして、これらはオフィスワーカーにとって「生産性の源泉」ともいえる重要な要素にほかならないのです。

感染対策を講じたうえで、コミュニケーションによる生産性を高める。これからのオフィスには一見すると難しい、この2点を両立することが求められます。密を避けつつ、かつコミュニケーションを活性化するには、どこでどのように従業員が働き、活動するのかという点まで配慮したオフィスづくりが必要です。

これまでのオフィス構築は主に「オフィスを効率的に利用する」ことに重きを置く傾向がありました。これからのオフィス構築はさらに「その空間を活用してどのように成果を上げるか」という点までカバーしつつ、コンセプトづくりを行う必要があるといえるでしょう。

オフィス全体のアウトプットを引き上げる視点が重要

今後のオフィス構築で大きな役割を果たすと思われるのが、ICTの活用です。オフィスにおける従業員の居場所や空きスペースの情報、一人ひとりの活動状況といったデータを取得できれば、オフィスで「誰が」「いつ」「どこに」いるのかが把握できるようになります。これにより、オフィスの効率的な利用方法や従業員同士のコミュニケーションの状況、さらには従業員の満足度についても高度な考察が可能になると考えられます。

こうしたICTの活用は、オフィスの改善にも役立ちます。事前にコンセプトをしっかりつくり込んでオフィスを構築したとしても、実際に従業員がコンセプト通りに活動するとは限りません。事前のプランとデータを分析して得た従業員の活動内容を照らし合わせ、対策を検討し、継続的な改善をする、つまりPDCAを回すことで、より生産性の高いオフィスにつくり変えることができるのです。

テレワークのメリットとデメリットが明らかになりつつあるいま、「オフィスで働くこと」のメリットも明らかにする必要があります。オフィスに求められる価値は、テレワークでは失われがちなコミュニケーションの場、ひいては生産性向上のための場です。従業員からの目線で言い換えれば、オフィスは「わざわざ通勤してまで働く意味のある場所」でなければなりません。感染対策を進めつつ、生産性を向上させるオフィスを構築するためには、レイアウトや移転先選び、什器の選択はもちろん、「オフィス全体のアウトプットをどのように引き上げるか」という視点に着目してみてはいかがでしょうか。

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